歴史保全と観光・地域スポーツの魅力 in 明日香村

読売新聞大阪本社版朝刊

石舞台古墳、キトラ古墳、高松塚古墳、飛鳥寺、橘寺、飛鳥京跡……。多くの歴史遺産に加え、棚田や里山といった美しい風景が広がる奈良県明日香村。古代文化の香り豊かな郷を楽しみながら走る「飛鳥ハーフマラソン」が来春に開催される予定だ。同大会をPRするイベントが3月13日・14日に開催され、トップアスリートによる講演や対談、走り方教室などが行われた。

明日香村長 飛鳥ハーフマラソン実行委員会会長 森川 裕一氏

日本は自然との共生で成り立っています。その中でも、この明日香村の地は「自然と共生」する姿が体験・体感できる場所だと思います。コースは攻略するのではなく満喫してください。来年の大会では、ぜひ多くの人が明日香村に訪れて本大会に参加してほしいと思っています。

ガイドブックにない感動が「旅ラン」の魅力

明日香村を走る「飛鳥ハーフマラソン」は今年に第一回が行われる予定だったが、コロナ禍で1年間の延期に。そこで今年代替ランとして開催された「飛鳥ハーフマラソン オンライン2021」には全国から1379名のランナーがエントリーした。大会をPRするオンライン特別企画として、最初に登場したのは川内優輝選手。「旅ランのススメ」と題して、ランナーとしての観点から旅ランを紹介した。

楽しむマラソン大会に参加する旅ラン。「大会にエントリーするついでに観光も目的にしよう」と語った。自身も「大学時代に初マラソンとして別府大分毎日マラソンに挑戦し、レース後にフェリーで四国へ。電車で瀬戸大橋を渡って岡山、大阪を観光して夜行バスで東京に帰ったのが、今でもいい思い出」と懐かしむ。また、沿道では「地元の中学生が演奏してくれたり、特産品を提供してくれたり、おもてなしが感じられる」のも魅力と述べた。

観光名所を巡る旅ランは「光や音、風、温度など、その土地を体感できる」気づく喜びが醍醐味だという。コースの下見をかねて寄り道すると「ガイドマップに載っていない、景色に出会えて感動した」という川内選手。ランニング後は「水でも本来のおいしさが身に染みる。グルメや観光があるからマラソンもがんばれる」と話した。

川内 優輝 選手
川内 優輝 選手
PROFILE
1987年東京都生まれ。学習院大学を卒業後、埼玉県庁に入庁。“公務員ランナー”として活躍。2019年あいおいニッセイ同和損害保険所属のプロランナーに転向。18年ボストンマラソン優勝、20年には「マラソン2時間20分以内100回達成」がギネス世界記録に認定。21年びわ湖毎日マラソンで自己ベストを更新する。

世界遺産登録を目指す地で歴史・自然・グルメを満喫

続いてエリック・ワイナイナ選手を壇上に迎え、対談が行われた。「走る楽しさを知ったのはいつ?」という話題で川内選手は「小さい頃は毎日タイムトライアルを課せられて嫌だった。大学でトレイルランをするようになって、走るのが楽しいと感じた」と語る。「ケニアでの高校時代は寮生活。ランニングが唯一、寮から出られる手段だった。それで走るのが楽しくなった」というワイナイナ選手。高校卒業後に単身で来日し「とにかく練習を重ねた。競技生活で楽しかったのは優勝したときだけ」と振り返った。

飛鳥ハーフマラソンのコースを試走した2人。川内選手は「歴史遺産がたくさんあって飽きない」と印象を語った。ワイナイナ選手は「石舞台古墳に感動した。飛鳥・藤原の地は世界遺産になってもおかしくない!」と熱弁した。来春の第一回大会に向けて、川内選手は「10キロ過ぎの“激坂”はキツイので、特産のイチゴを使ったスイーツが味わえるエイドステーションを設けたり、坂の区間記録を別に計測して表彰したり、楽しめる仕掛けが必要」と提案した。ワイナイナ選手は「明日香村に来て改めて日本の歴史を学んだ。ぜひ来年はここで一緒に走りましょう」とメッセージを送った。

エリック・ワイナイナ選手
エリック・ワイナイナ選手
PROFILE
1973年ケニア共和国生まれ。93年高校卒業後に単身で来日。コニカ陸上競技部に所属し、94年北海道マラソンで初マラソン初優勝を飾る。96年アトランタ五輪で銅、2000年シドニー五輪で銀、04年アテネ五輪では7位と3大会連続入賞を果たす。「日本が第二の故郷」と公言するほど日本での生活に馴染んでいる。
ワイナイナ選手と一緒に正しい走り方を学ぶ明日香村の小学生たち
ボクシングの元WBC世界フライ級王者、内藤大助さんたちが、体幹を鍛えるボクシングエクササイズを披露した

▶公式HP  ゲストトークショー動画公開中!!
https://asuka-marathon.jp/

第1回「飛鳥ハーフマラソン」 2022年 春開催予定!

古都・飛鳥の歴史と自然を堪能する

新型コロナウイルスの感染防止のため、1年延期となった「第1回 飛鳥ハーフマラソン」は来春に開催される予定。新しい明日香村ファンを増やすことや、スポーツを通して多くの人に村を体感してもらうのが狙いだ。

スタート地点はキトラ古墳近くの「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」前。古代大和の風景が望める甘樫丘や飛鳥寺のそばを通過する。石舞台古墳の横を通り、10キロを過ぎた地点から高低差約130メートルの上りが約2キロ続く“激坂”が待ち構える。細川谷を折り返し、棚田が広がる稲渕地区や高松塚古墳の付近を経て、出発地点にゴールする。

飛鳥ハーフマラソンのロゴマーク
●主催/飛鳥ハーフマラソン実行委員会、明日香村、明日香村教育委員会
●特別協賛/長谷工グループ
●特別協力/読売新聞社

明日香村の歴史保全・地域活性を図る産官学連携プロジェクトが進行中

長谷工コーポレーションは、2015年より明日香村の村内産野菜を長谷工グループが管理するマンションで販売するなどの支援活動を続けてきた。2017年9月には、明日香村および明日香村地域振興公社と「官民連携に関する包括協定」を締結。古都飛鳥の歴史保全活動、明日香村の産業および地域の活性化を目的としている。

「明日香村を経験する」「明日香村を堪能する」「明日香村に居住する」の3つのテーマ別にプロジェクトを推進し、明日香村の地域課題に対応していく。

明日香村を経験する

マンション居住者に明日香村の景観と農業を体験してもらう取り組みとして、貸し農園「長谷工明日香コミュニティファーム」を18年5月にオープンした。農園利用者と地域との交流を進めている。

明日香村を堪能する

今年、大字飛鳥にて築150年の古民家を改装した宿泊施設を開業予定。旅の疲れを癒す、広々として浴室や専用庭など、生まれ変わった古民家が体験できる。

また、昨年12月には、明日香村・奈良女子大学・長谷工コーポレーションの三者による産学官の包括協定を締結。大学の知、企業の活力を結集し、築400年の茅葺古民家を生まれ変わらせるプロジェクトも進行中。地域課題の解決を進めている。

調印式の様子

2021年3月28日 読売新聞大阪本社版朝刊掲載
挑むKANSAI「歴史保全と観光・地域スポーツの魅力 in 明日香村」

※クリックすると拡大画像をご覧いただけます。(約800KB)

ARTICLE 挑む
KANSAI
特集一覧