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食withフォーラム 家族をつなぐ楽しい食事、正しい知識 〜知っておきたい食物アレルギー〜

家族団らんの大切さや食の課題、特に食物アレルギーをテーマにした「食withフォーラム 家族をつなぐ楽しい食事、正しい知識〜知っておきたい食物アレルギー〜」(ハウス食品グループ協賛)が10月27日、東京の日本橋三井ホールで開催された。第一部は「尾木ママ」の愛称で親しまれる尾木直樹氏が家族団らんの大切さを、教育現場での体験をもとに基調講演。第二部では、食物アレルギーに対するハウス食品やNPOの取り組みを通して、笑顔につながる食の可能性などについてのトークセッションが行われ、子育て中の人や祖父母世代が熱心に聞き入った。

第1部:基調講演 尾木ママ流・家族で囲む食事のススメ

尾木 直樹氏 教育評論家・法政大学教授

食改善 心身健やか

 家族みんなで楽しく食事することが、心身に良い影響をもたらすことは、様々な研究からも明らかです。海外では、「家族で食事する家庭は、子どものネットいじめを予防できる」「家族で食事する頻度が低い子は肥満傾向が高い」等の研究結果が報告されています。
 僕自身、中学校の教師をしていた頃、子どもたちの「キレる」行動と食事の間に深い関係があることに気づきました。当時、中学校は全国的に荒れていて、クラスにキレる子がいると、よく家庭訪問をしました。そういう子は家族に顧みられず、まともな食事を食べていない。軽食を作って食べさせると、だんだん落ち着いて、「先生、悪かった」などと、素直に話すようになったものです。
 非行で少年院へ入った生徒に面会に行くこともありました。手がつけられなかった子が、入所して3週間もするとキレたり、いらついたりしなくなります。教官から「食生活が改善したからだ」と聞いて驚きました。3度の食事をとり、生活リズムが整うと、人の話を冷静に聞き、自分を内観できるようになるという。食事がいかに大切かが分かります。
 学校現場でとりわけ注目されるのが朝食です。ご飯等に含まれるブドウ糖は、脳を動かす唯一のエネルギー源で、不足すると、交感神経が緊張したり、血圧が上がったりします。ある調査では、朝食をほとんど食べない子は、必ず食べる子より、「やる気が起こらない」「いらいらする」傾向が顕著にみられました。文部科学省の調査でも、朝ごはんを食べている子ほど学力が高く、体力もあることが分かってきました。
 ただ、現代社会では、朝食を一家団らんで食べるなんて、不可能に近い。ですが、週1、2回でも、3食のうちの1食でも、家族で食卓を囲む努力をして下さい。最近は家族が食卓にそろっても、各人がスマホを操作していることもあるようですが、これはよくありません。楽しい会話が生まれてこそ団らんであると言えるでしょう。

プロフィール 教育評論家・法政大学教授 尾木 直樹氏

私立高校や公立中学校で22年間、教壇に立つ。その後、臨床教育研究所「虹」を設立。子どもと教育に関する調査・研究活動に取り組み、テレビ、ラジオでも活躍。

第2部:トークセッション 食事をもっと楽しむ 〜ちゃんと知りたい食物アレルギー

パネリスト:赤城智美氏・佐久間淳氏・尾木直樹氏 コーディネーター:伊藤剛寛
アレルギー理解し合う

伊藤 子どもの食生活で今、食物アレルギーが大きな問題になっています。
赤城 食物アレルギーの有症率は、ゼロ歳児で10%、1〜6歳で5%です。小中高校生は2%台でしたが、直近の調査で4.5%に上がりました。原因は卵が最多で約4割。症状は皮膚症状が9割を占め、誤食した時にかゆみと息苦しさなど、2種の症状が出る人が多いです。アナフィラキシーショックという命に関わる症状の人も1割います。
伊藤 給食等で一人ひとりのアレルゲンを取り除くのは大変です。
赤城 プリンの代わりにゼリー、ケーキの代わりに果物など、「違うけれど、いっしょ」でもいいのです。私たちは食物アレルギーやアトピーの人を対象に毎年、100人規模のキャンプを実施し、「みんないっしょのもの」を食べる経験をしています。複数のアレルギー患者が集まる場では、全てのアレルゲンを除去するのは難しいことです。そういう時、その子が楽しく過ごせるよう一緒に考え、気持ちをフォローすることが大切です。
尾木 学校では、「違う」ことでいじめが起きる場合があります。以前は「我慢して食べろ」と強要する先生もいました。「みんないっしょ」の場を確保しつつ、「一人ひとり違う」ことを認め合える教育が重要です。

安心・安全な食品づくり

伊藤 ハウス食品ではアレルギーに対応した製品づくりを進めています。
佐久間 当社は「家族で囲む食事、団らん」を大切にしております。カレーなどは家族みんなで食べることが多いため、「バーモントカレー」や「シチューミクス」のブランドで、乳、小麦などアレルギーを起こしやすい食品を使わない「特定原材料7品目不使用シリーズ」を発売しています。このシリーズは500回を超える試作の末に完成し、専用ラインで製造しています。
赤城 私も商品開発中、ハウスさんとアレルギーの子を持つお母さんたちとの意見交換等に関わりました。お母さんたちの期待は大きく、食品会社が少数者の思いを受け止めてくれたことに感謝していました。
尾木 商品開発の部分で、少数者へのサポートを考えて下さる――。こんなあったかい企業があるなんて、うれしくなります。しかも、おいしいの。

■特定原材料7品目
小麦、乳、卵、落花生(ピーナッツ)、えび、そば、かにの7品目。アレルギーを起こしやすいとされる原材料のうち、発症数や重篤度から考えて表示が義務付けられている。

共感する心 教育に重要

伊藤 ハウス食品では子どもの調理体験にも取り組んでいますね。
佐久間 幼児がカレー作りに挑戦する「はじめてクッキング」教室を全国で実施しています。当社の理念に「食でつなぐ、人と笑顔を。」があります。我々の食への取り組みで笑顔が生まれるなら、これ以上の喜びはありません。
伊藤 全国の食物アレルギーの方にメッセージを。
赤城 今日のように楽しく、食べ物について話し合えれば、食物アレルギーの未来は明るいと思いました。
佐久間 食品会社が既存製品のフレッシュアップ(風味改良や配合変更)をすると、「アレルゲンが追加されて、食べられなくなった」という声を聞きます。我々はその際、アレルゲンを増やさない、なるべく減らす取り組みをしています。これからも食の安心・安全をテーマに、様々な悩みに製品でこたえていきます。
尾木 アレルギーの子の存在は学校にとって宝物です。その子のつらさを想像し、共感することで、みんなが心豊かに育つからです。自信を持って下さい。

参加者から質問

質問 共働きで、なかなか食事や団らんの時間がとれません。(33歳女性)

尾木 週1回でも、子どもといっしょに作って食べて、お片づけまでするといい。手慣れると、いろんな工夫が生まれ、家族の絆が深まります。手を抜くのも大事です。
佐久間 野菜を切る、盛りつける、など一手間でも子どもにさせると、食卓の会話が膨らみます。